「挑戦しようよ」と言うためには
あちこちで大きな「変化」を生み出すコロナ禍。
大型家電販売店が、航空会社の人材を引き受けることになった。
旅行も出張も減って業績の回復がむずかしい業界の人材を
「ステイホーム」で家庭内環境改善に賑わう業界が受け容れるという構図。
接客の最高峰のノウハウを持つ業界が
接客技術を向上させたい業界を引き上げると言うねらいも。
ベテランの航空会社社員にとっても、新たなチャレンジとなる。
数字の上でも、理屈の上でも、机上では利害はピタリと合う、はず。
でも、それだけで果たしてうまく行くのかな??
ニュースで映し出された、説明会のひとコマ。
集められたたくさんの航空会社の女性を前に
家電販売店の人事担当者がこう言っていた。
「自分には専門的な商品知識なんてないのにできるの?って
不安ですよね。わかります。
でも、絶対に大丈夫です!」
さすが、人事担当者❣️
と思っていたら、次にこう続く。
「大丈夫です。毎日毎日いろいろな家電を見ていたら
商品知識はすぐに身に付きますよ」
うーーーーん、確かにそうなんだけど、「時間」だけじゃ不安は拭えない…
彼らの頭にある不安。
それは「心理的な安全性を保てるかどうか」ということだと思う。
商品知識を詰め込むには年齢が高く、若い頃のようにはいかない。
当然失敗することもあるだろう。
先輩に聞かなくちゃいけないことも。
そんなときに聞こえてくる。
「前にも何度も説明しましたよね」
「え、ウチではそんなことしませんけど」などなど…
さらに、カゲの声。
「CAっていうけど、思ってたよりたいしたことないわねぇ」
「丁寧すぎて、スピード感ないのよね」
「あれなら、私たちの方がマシ」
聞こえないかもしれないけれど
聞こえるかもしれない声。想像してしまうしまう声。
そんな声と戦っていけるかどうかが不安なのだ。
心理的安全性が保てないところで
人は力を発揮することはできない。
「挑戦しようよ」と背中を押す人が、しなければならないこと。
それは「応援」する決意を表明すること。
ちょうど、天皇陛下が結婚するときに
「雅子さんを全力でお守りします」とおっしゃったみたいに😊
「がんばれ」と本人を励ますだけじゃなく
その先の人にも「見守ってほしい」とお願いすることだ。
現場の人には
慣れない人が和める空気を意識的に作ろう。
何度同じことを聞かれても、ちゃんと丁寧に答えよう。
学べることは謙虚に学ぼう。
顧客には
説明が行き届かなくても怒らないでほしい。
新しいスタッフに、がんばれ、と声をかけてほしい。
こんなこと、これまでは「自助努力」だった。
「仕事は厳しいもの。甘えるな」と言われてきた。
でも、不安がないとき、
自分を応援してくれる人のあたたかさを感じるとき
人はものすごいパワーを発揮するのだから。