「君を幸せにする」という約束

29年前、神戸の結婚式で夫は
「君を必ず幸せにする」と大見得?を切った。
百恵ちゃん気分の私は「あなたについていくわ」とルンルン。

そして、彼はちゃんと約束を守った。
私を社長夫人にしてくれた?  
大金持ちにしてくれた?  

いや、違う。
彼のいちばんの贈り物は、「邪魔しなかったこと」だ。

私が勝手に仕事を始めて、0歳児を保育園に預けて
時に「ごめん、お迎えに行って」と夕方会社に突然電話し
転勤には「ついて行かない」と言い、出張で家を空け・・・

想定外のことが起こるたびに「へえ〜」と言いながら
淡々と楽しみながら自分でやる領域を増やしていった。
料理も洗濯も、「何でオレが」なんて常絶対に言わない。

こう見えて、実は九州男子なのに・・・
真剣に叱られたことが2回だけある。

ケガした子ども、熱を出している
子どもを放置して仕事にでかけた時。

「子どもが危険になるようなことは,絶対にするなよ」
友人は「理解があっていいね〜」
「愛されていてうらやまし〜」と言う。
oyako

「えへへ」と聞き流すが、これもちょっと違う。
特に後半は。

26歳になったムスコはずばりと言う。
「きっと無関心なんだよね〜」
基本的に「自立」している人なのだ。

私が横で何をしようと、どのポジションにこようと
彼自身の絶対的位置はどっしりと変わらない。

「オレの飯は?」「今夜も遅いのか?」
ぐらいのことでガタガタ言わない。

おかげで私は気持ちよく働き続けることができた。

仕事はどんなに大変でも、
家族からの心理的な「ブレーキ」がなかったからだ。

私には挑戦する仕事があり、
そこそこのお金があり、実現したい夢がある。

sensu
今、本当に幸せだと心から思う。

「励まし」も「応援」も「相談」も「助言」もいらない。
言葉だけの「エアイクメン」なんか、もっといらない。

「邪魔しない」ことだけで、
彼は私をこんなにも幸せにしてくれたのだ。